きずな綜合会計事務所∣Kizuna Accounting firmきずな綜合会計事務所∣Kizuna Accounting firm
  • トップ
  • サービス
  • Aboutus
  • news
  • knowlege
  • aboutus
  • aboutus
ファンド組成

会社分割の要件緩和 創業者の会社貸付金の相続対策

更新日時:2017/10/23

会社分割を利用して貸付金の整理
平成29年の税制改正で分割型分割の適格要件が一部緩和されました。その内容はこうです。
単独新設分割型分割にあっては、分割後の株式の保有関係は、分割後にその同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係(支配関係含む)が継続することで足り、分割後のその同一の者と分割法人との間の完全支配関係の継続が不要とされました。
そこで、改正後の単独新設分割型分割を利用して創業者の会社貸付金の整理を試みてみます。
同族会社と同一の者
この「同一の者」は、親族が単位となりますので、同族会社の場合、親族で株式を保有している例が殆どだと思われますので、いわゆる、会社と同一の者による完全支配関係が成立します。適格要件は満たします。
例えば、甲社は、創業者60%、配偶者10%、子30%の割合で株式を保有されていたとします。この場合、甲社は、「同一の者」による完全支配の関係にあります。
創業者の貸付金の整理
具体的な手続きはここからです。甲社は、創業者からの借入金6千万円があり、債務超過でその返済も不能の状態にありますが、現在、事業は縮小しながらも継続して営んでいます。
ここで、甲社は分割法人となり、継続している事業を新設分割により乙社分割承継法人に承継させ、その後、甲社を解散・清算することにしますが、改正後は、同一の者と甲社分割法人との完全支配関係の継続が要件とされませんので、適格要件は満たしており、それは可能と考えます。
甲社は清算の段階で、創業者から6千万円相当額の債務免除を受け、その免除益が計上されることになりますが、既に甲社には残余財産がありませんので、原則として、期限切れ欠損金の利用により、甲社に債務免除益による課税は生じません。
結果として、創業者の会社への貸付金6千万円相当は相続財産から消えます。
但し、創業者の債務免除により当該者から他の株主への「みなし贈与課税」が生ずる余地はあるかもしれません。
なお、この改正は、平成29年10月1日以後に行われる分割から適用されます。

共稼ぎ夫婦の 税制恩典活用のススメ

更新日時:2017/10/13

共稼ぎ夫婦の税制恩典活用のススメ
2017年から配偶者控除に代わり夫婦控除という制度が導入されるという話は、立ち消えとなってしまいました。配偶者控除を使えない共稼ぎ夫婦も現行の税制をうまく活用して税務メリットの恩恵を受けることをおススメします。
日本に共同名義口座はない
一つの銀行口座を夫婦等の共同名義にしてそれぞれがその銀行口座の所有者として利用できる制度を共同名義口座(=ジョイント・アカウント)といいます。夫婦どちらか一方の稼ぎであっても夫婦で稼いだお金なので預金は夫婦のものと考えるアメリカなどでは一般的なものですが、日本でこうした口座を作ることはできません。日本の場合、口座から生活費等を引き出すために代理人カードを作って名義人でない家族でもお金の引き出しをすることはできますが、あくまでも名義人の財産とみなされます。
クレカ家族カードでふるさと納税
一方、クレジットカードの場合には家族カードという制度があり、こちらは家族の名前でカードが発行されます。これを使うと、ほとんどの自治体でふるさと納税の寄附もカード払いが可能となっていることから、夫婦共稼ぎで両名がふるさと納税の控除限度額を持つ場合、家族カードで寄附金を納付し、実際の資金負担はカード保有者の銀行口座からの引き落としにできます。ふるさと納税受付の際に、決済システムが寄附者の名義とクレジットカードの名義のチェックを行いますが、カード名義や番号、セキュリティコード等が合致すれば本人のクレジットカードという確認がされ、最終決済が申込人の銀行口座でない場合にも、ふるさと納税の寄附は成立します。
税法上ではこの段階で贈与があったことと認識されますが、他に贈与などがなく基礎控除110万円の範囲内であれば実質的に問題にはなりません。
医療費控除とセルフメディケーション税制の併用
今年から始まったセルフメディケーション税制(=特定一般用医薬品等購入費控除)は医療費控除の特例であり、従来の制度と併用できません。しかしながら、夫婦共稼ぎの場合、申告主体は別々なので、一方が従来の医療費控除を適用し、他方がセルフメディケーション税制を適用することも可能です。生活費を共同で賄っている場合には、どちらの財布からどちらの制度の医療費を負担したのか区別できないからです。

移転価格税制は、 特殊な世界・秘密情報の宝庫

更新日時:2017/10/11

移転価格税制の価格の決め方
移転価格税制は、資本関係等がある関連者間の取引価格の操作により、特定の関連者の得るべき所得が他国の関連者に移転することを防止するためのものです。一般的には、売買価格の操作で、より高い税率国の所得をより低い税率国の関連者に移転させることを防ぐものです。
価格操作されないように、取引価格は、第三者との間であればこの金額になるであろうという金額の「独立企業間価格」でなければならないとされています。
この独立企業間価格の捉え方は、各国の税制で規定されます。わが国の税法では、①「独立価格比準法」、②「再販売価格基準法」、③「原価基準法」の基本三法と、④取引単位営業利益法、⑤利益分割法の中から最も適切な方法を選定することにより算定するとされています。
移転価格専門チームの特殊性
移転価格の仕事は、相手先国の税制にも精通していなければならないことから、通常、国際会計事務所の独擅場となっています。また、移転価格税制を担当する部署のメンバーは、税務の専門家というよりも、むしろ経済の専門家集団(経済学修士も少なくない)であり、高額利用料のデータベースを駆使して、膨大な英語文書を読みこなす能力(=英語を母国語とするメンバーも多い)が求められます。そのため、税理士法人でありながら、他の部署とは違った特殊な雰囲気があるといいます。
移転価格資料は秘密情報の宝庫
かつて国際会計事務所に務めていた税理士によると、情報の保秘も半端じゃないそうです。
業務の進捗管理や請求時間の把握には、会社ごとに顧客コードを設定し、業務ごと(=法人税申告、税務コンサルティングなどの内訳別)に関与したメンバーが業務日報に入力して管理するシステムが通常のやり方です。しかしながら、移転価格業務の場合、「プロジェクトイエロー」や「インディゴ」「ターコイズ」などの色の名前でプロジェクト管理し関与者以外はどこの会社のどんな業務が行われているのか社内でもわからないしくみであるようです。また、入退室がセキュリティカードで管理されている執務スペースの中でも鍵のかかった保管庫で機密保持を徹底しているとのことです。
他社には真似のできない飲料の製造方法や薬の製造方法が移転価格算定の重要要素ですので、最上の保秘が求められるということですね。

健康診断の受診は労働時間か

更新日時:2017/10/06

健康診断の種類
労働安全衛生法(第66条)では使用者は労働者に対し健康診断を実施する事が義務付けられています。このうち1年以内ごとに1回実施しなければならないのが定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)です。定期健康診断と雇い入れ時の健康診断(同第43条)等を合わせて「一般健康診断」と言います。またこれとは別に有害物質を取り扱う業務の従事者に対して実施が義務付けられている「特殊健康診断」があります。
受診時間と労働時間
健康診断の受診時間が労働時間に当たっているかどうかは、その労働者がその時間使用者の指揮命令下にあるかどうかが判断碁準となります。一般的に特殊健康診断は業務の遂行に基づいて実施されるべきもので所定労働時間内に行われるのが原則とされています。
一方で一般健康診断は使用者が労働者の一般的な健康の確保を図ることを目的として実施を義務付けたもので業務遂行との関連において行われるものでないと考えられています。この事から特殊健康診断の受診時間については業務関連性から見て使用者の指揮命令下におかれた労働時間であり、一般健康診断は必ずしも使用者の指揮命令下にある労働時間であるとは言えない事となります。一般健康診断は所定労働時間内に実施すれば賃金を支払うのが通常でしょう。
業務の都合で所定労働時間外や所定休日に受診した場合、賃金の支払い義務はありませんが考慮は必要でしょう。
健康診断の費用負担
健康診断費用について労働安全衛生法では触れていません。通常は健康診断実施義務の課されている事業者が負担するべきであるとされています。健診機関に出向く場合は交通費等は健診に要する費用とされると解釈されています。
しかし使用者が指定した医師や機関でなく労働者自ら選択した他の医師や機関の場合はその受診時間は使用者の指揮命令下にある時間ではないので、使用者はその時間の賃金だけでなく受診費用も当然負担すべきものとはならないでしょう

ふるさと納税 中間仮計算のススメ

更新日時:2017/10/04

過熱するふるさと納税-規制もあれば抜け道も!?
2017年4月1日付で総務省は各自治体に対し、「ふるさと納税の返礼品の価格について、寄付額の3割までに抑えるよう要請」し、「商品券や家電製品といった返礼品は換金しやすさや地元産かどうかを問わず、全面的に控えるよう求め」ました。これで一部自治体の目玉だった商品券や各種ポイントも返礼品から消えることとなりました。
「税法の縛りがあるところに合法的な節税の抜け道あり」ではありませんが、頭を使って考える人はいるものです。自社が提供するふるさと納税の申込サイトから寄附すれば、自社のポイントを付与し、他の申込サイトよりもポイント分得するという売りを打ち出したところが出てきました。ポイントは、自治体から納税者に付与されるのではなく、ふるさと納税の申込サイトを運営する会社から付与されるので、総務省要請も対象外ということなのでしょう。
ふるさと納税限度額の計算
持ち出し(=寄附金が控除限度額を超えてしまうこと)なくふるさと納税をするためには、控除限度額の把握が必要です。ふるさと納税導入当初は、総務省や千葉県などのウェブサイトで提供されていた表形式のものしか限度額を予測するものはありませんでした。しかしながら、いまは各種ふるさと納税の申込サイトでシミュレーションコーナーが設置され、より精度が高く計算できるようになってきています。
ふるさと納税中間仮計算のススメ
限度額ギリギリまで得するよう12月の年末調整後に駆け込み的なふるさと納税を推奨する話も聞きますが、今回は、いまの時期に、中間仮決算的準備をお勧めします。
行うべきことは、医療費の領収書の金額集計です。扶養家族や住宅ローン控除などはほぼ例年通りのことが多く12月末時点の予測は簡単です。一方、医療費控除は集計してみるまで金額がわかりません。
ある税理士は毎年12月にその年の納税限度額を計算し、限度額目一杯使い切ることを年中行事としていました。しかしながら、12月に突発的な仕事で、医療費控除の予測ができぬまま医療費控除を最大限の200万円としたうえでふるさと納税限度額としました。そして、翌年2月に自身の個人所得税の確定申告をしてみて数万円分のふるさと納税限度額を逃してしまったことに気づいたそうです。その反省から「今年は中間仮計算をする」と宣言していました。