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ファンド組成

教育資金口座からの払出し方法領収書をまとめて提出する場合の注意点

更新日時:2016/03/29

「教育資金贈与信託」払出しは1,205億円
一般社団法人信託協会によれば、平成27年9月末現在の「教育資金贈与信託」の契約数(累計)は141,655件(信託財産設定額(累計)9,639億円)となっているそうです。この信託財産設定額9,639億円のうち、既に1,205億円が教育関連費用として払出しされたそうです。1,205億円相当の金額が教育に消費されるとともに、贈与を受けた親権者の世帯の家計に余裕ができたと思えば、その効果は大きなものといえます。

口座からの払出し-2つの領収書提出方法
信託に限らず、銀行、証券口座に「教育資金」の贈与税非課税口座を作った場合の「教育資金」の払出しは、どちらも取引金融機関の営業所等に領収書等を提出する方法で行われます。この領収書等の提出方法は次の2つの方法から選択することができます。

① 教育資金を支払う都度提出する方法(期限:領収書記載の年月日から1年を経過する日まで)

② 1年分をまとめて提出する方法(期限:支払年の翌年3月15日まで)
⑴の「教育資金等を支払う都度提出」する方法では、教育資金を支払った後に、教育資金等の口座から払い出すという順番となりますが、⑵の「1年分をまとめて提出」する方法では、「教育資金の支払い」と「口座からの払出し」の時期の前後は問わないこととなっています。(提出方法を選択した後は、その後において変更を行うことができません)。

まとめ提出の場合、12月「払出し」は注意!
ここで、⑵の「1年分をまとめて提出」する方法の場合、「その年中に払い出した金銭の合計額」が、「提出された領収書等の金額の合計額」を超えるときは、取扱金融機関が記録する教育資金支出額は、「その領収書等の金額の合計額」が限度となります。例えば、受贈者が12月に金銭の払出しを行い、その金銭を1月に教育資金の支払いに充てた場合には、金銭の払出年と領収書等に記載された支払年が、同一年中とならないことから、その領収書等を3月15日までに提出したとしても、12 月に払い出した金銭は、それに見合う同一年中の領収書等の金額がなく、教育資金支出額として記録されないこととなるため注意が必要です。

雇用保険65歳以上の新規加入が可能に

更新日時:2016/03/29

65歳以上の方でも新規加入ができるように
厚生労働省は来年度から65歳以上の高齢者も新規に雇用保険に加入する事ができるようにする方針を固めました。高齢者の雇用を拡大して行く方向で通常国会に改正案を提出する予定です。

65歳前からの継続雇用者との不公平感
現行の雇用保険制度は、失業した時に65歳未満であれば賃金の45%~80%相当額を最大360日受け取る事ができ、65歳以上の場合には最大50日分の一時金を受け取る事ができます。しかし、65歳以上で転職したり、関連会社に転籍して異動したりした時等は新規に雇用保険の加入ができません。ですから一時金給付も受け取る事ができません。不公平感を感じていた高齢者もいた事でしょう。現在65歳以上の雇用保険加入者は150万人近くいると言われています。新規加入を認めれば転職した人達等の不公平感は是正されるでしょう。

転職や再就職も失業給付の対象に
改正後の雇用保険の加入には年齢制限を設けず、65歳以上の退職者には「高年齢求職者給付金」として65歳前から継続して同じ事業主の下で働いていた人と同様に失業前に受け取っていた賃金の最大50日分が支給されます。但し、加入には「週20時間以上の労働時間」が、失業給付受給には「直近1年のうち6ヶ月以上の被保険者期間」が必要です。65歳未満の失業給付は現行のままの予定です。65歳以上で加入した人の保険料は当面は労使とも免除されます。現在も64歳を超えて雇用されている人の保険料は免除されているのと同様の扱いです。

人手不足や求職者の増加が背景に
高齢化の進展で働き続けたい人の割合が増えており、企業側も人手不足感から高齢者を受け入れる方向に動いています。厚労省は安易に受給者を増やさないように、給付を申請する65歳以上の方が実際に求職活動をしているか等を厳しく確認するとしています。この他、介護休業を取る人への給付金を現在の賃金の40%水準から67%に引き上げる方針です。仕事と家庭の両立を支援していく方向です。

中小企業退職金共済 (中退共)制度改正

更新日時:2016/03/23

退職金のポータビリティ範囲の拡大
中小企業退職金共済法(中退共)の一部が平成28年4月より改正されます。今回の改正は勤労者退職金共済機構における資産運用のリスク管理体制を強化し、制度のポータビリティの向上等を通じた事務、事業の見直し、加入者の利便性の向上等を盛り込んでいます。

改正の内容は
1. 資産運用のリスクの管理体制の強化のため勤労者退職金共済に厚労省大臣が任命する委員から構成される「資産運用委員会」を設置し資産運用の重要事項にかかる審議等を行う。これについては先んじて平成27年の10月から施行されています。
2. 制度のポータビリティの向上を通じた事務、事業の見直し
①特定退職金共済事業からの資産移換・・・特定退職金共済事業を廃止する団体から事業主単位で中退共制度への資産移換を可能にする。
②確定拠出年金制度(DC)への資産移換・・・中退共に加入している事業主が中小企業者でなくなった場合、事業主単位で中退共制度から確定拠出年金制度(DC)(企業型)へ資産移換する事を可能にする。
③制度間通算における全額移換の実施・・・中退共制度と特定業種退職金共済制度間等の通算について、通算できる金額の上限を廃止する。
④企業間通算の申し出期間の延長・・・中退共に加入している従業員が転職等により中退共制度間等を移動した場合、通算の申し出期間は現行の2年以内から3年以内へ延長する。
⑤建設業退職金共済制度の退職金の支給方法の見直し・・・退職金が支給されない掛け金納付期間を現行の24月未満から12月未満へ短縮する。
⑥未請求退職金発生防止対策強化・・・勤労者退職金共済機構から住基ネットを活用して退職金未請求者の住所の把握を行えるようにする。

以上のように加入者にとっても利便性が向上する措置が盛り込まれました。

平成27年分の所得税の電子申告住基カード利用者はご注意を!

更新日時:2016/03/23

ご自身で電子申告される方は要注意!
平成27年分の確定申告については、会計事務所を通じて確定申告をされている方は心配ないのですが、御自身で電子申告(e-Tax)されている方には少し気を付けていただきたい点がいくつかあります。

住基カードの電子証明書が有効期限内の方
e-Taxで申告手続等を行う際には電子証明書が必要です。「住基カード」をお持ちの方については、そのカードに搭載された電子証明書は、有効期間内であれば、引き続きe-Taxでご利用いただけます(昨年のうちに、電子証明書の更新を行った場合には、e-Taxに再登録する必要がありますので、確定申告書等作成コーナーで再登録の方法を確認してください)。また、新たにマイナンバー制度の「個人番号カード」の交付を受けた場合は、「個人番号カード」をご利用いただくことになります(「個人番号カード」には、電子証明書は標準的に搭載されます)。この場合、既に「住基カード」の電子証明書をe-Taxに登録している場合であっても、新たに取得した個人番号カードの電子証明書をe-Taxに再登録する必要があります(電子証明書の登録・再登録の方法については、確定申告書等作成コーナーで確認してください)。

住基カードの電子証明書が期限切れの方
その他にもe-Taxを利用されるまでに電子証明書の有効期間が満了してしまう微妙なタイミングの方もいらっしゃると思います。この場合、「住基カード」の電子証明書の更新は、マイナンバー制度の導入に伴い終了していますので、「個人番号カード」の交付申請を行っていただくことになります。なお、「個人番号カード」の交付申請が集中した場合、交付に時間がかかる旨のお知らせが総務省ホームページに掲載されていますので、申告等の期限に間に合うよう市区町村窓口にご確認の上、早めに交付申請を行ってください。

電子証明書の有効期限の確認方法
電子証明書の有効期限の確認方法は、公的個人認証ポータルサイト「自分の証明書をみる」でご確認できますので、心当たりのある方は早めにご覧になってください。

償却方法及び耐用年数と組織再編

更新日時:2016/03/23

包括的承継の個人と法人
個人の相続は包括的承継といわれ、判決では、償却方法は法令の文理解釈から引き継ぎなし、耐用年数は法令の趣旨解釈から引継ぎ、とされています。(最高裁係争中)法人に関しては、同じく包括的承継といわれる適格合併や会社分割等について、係争になっている事例はないのですが、実務の取扱いはどうなっているのでしょうか。

「移転・引継ぎ」という表現で
適格合併・適格分割型分割により資産等を移転した場合には被合併法人の合併直前の帳簿価額による引継ぎをする、ことと法令上表現されています。「譲渡(取得)」という言葉に対する「引継ぎ」との言葉を対置しての使い分けで、法人税法では、適格合併・適格分割型分割のみを包括的承継の性格を有する組織再編と位置づけして立法したように見受けられます。

組織再編の多様性と包括承継
減価償却資産の所有権変動を伴う適格組織再編には、合併・分割・現物出資・事後設立・現物分配があります。このうち、適格合併・適格分割型分割以外は、簿価引継ぎとしての「譲渡(取得)」という規定なので、取得資産は新品の取得ではなく、中古資産の取得に該当することになります。従って、中古資産に対する耐用年数の特例が適用できます。なお、合併は100%の会社分割で、分割型分割は分社型分割と子会社株式現物分配(あるいは株式交換)との組合せで、代替できてしまいます。それ故か、適格合併・適格分割型分割も、初めは引継ぎ耐用年数のみの適用でしたが、「引継ぎ」も「取得」の一種との解釈となり、今では、他の適格組織再編に対するものと同じ扱いになっています。

包括承継の場合の償却方法の引継ぎ
償却方法の引継ぎがないという点は、法人税でも、個人所得税での相続の場合と同じ扱いのようです。ただし、法人税には、実質的に償却方法の引継ぎがあるとの公開情報があります。合併や分割での資産承継法人の引継ぎ取得時期としての過去の時点において、その資産承継法人が選択していた償却方法が、資産引渡し法人と同じならば、その償却方法が適用になる、とのことなので、実質的に償却方法を引き継いだと同じ結果になります。(なお、遡及しての償却方法の選択届も認められています。)

償却方法及び耐用年数と相続取得

更新日時:2016/03/22

相続は包括的承継
相続は包括的承継といわれ、相続取得財産は相続人が相続時に取得するのではなく被相続人の取得時から引き続き所有をしていたものとみなすことになっています。これを、取得時期、取得価額の承継といったりします。その財産が減価償却資産のときは、取得時期と原始取得価額と償却累計額と未償却残額を引き継ぎます。包括的承継の趣旨が、人格間での権利義務の変動がなかったものと考える、ということであれば、減価償却の他の要素である償却方法や耐用年数も一括して引き継ぐというのが自然なことのようにも思われます。

償却方法も引継ぐべきかは文理解釈で
それで、建物について被相続人の選択していた定率法の適用が引き継げるべき、と主張して訴訟になった事例がありました。最高裁まで争われましたが、判決は、取得とは所有権の取得の意であり、相続取得も取得の一種であり、法令で取得時期別の選択可能償却方法の制限をしている以上、相続取得もその定めに服するのは当然との文理解釈を示して、納税者を敗訴にしました。

耐用年数を引継ぐべきかは趣旨解釈で
この判決を承けて、それならば、償却方法のみならず、耐用年数も引き継げないはずだと判断して、相続取得は中古資産の取得に該当するから、中古資産取得時の耐用年数算定方法が適用できるはず、と主張して訴訟になった事例が次におきました。裁判は、地裁高裁を経て、現在最高裁に上告されています。地裁高裁ではいずれも納税者敗訴の判決になっているのですが、こちらの判決は前の判決と異なり、条文の文言を前提とする文理解釈ではなく、趣旨解釈による判決になっています。法令には取得価額の承継としか書かれてなかったとしても、その趣旨を考慮すると、取得価額承継の文言によって耐用年数、経過年数及び未償却残高についても承継することを予定していると解釈すべきが相当と言えるとしています。

行政も司法も論理無視でよいのか
それぞれの判決を読むとそれなりの論理の一貫性はあるのですが、二つの事例の判決を通貫した論理の一貫性はありません。最高裁で不受理となってこのまま判決が確定するのかも知れませんが、モヤモヤの気分が残ります。

立法趣旨にそぐわない事業所税の課税拡大

更新日時:2016/03/22

事業所税とは
事業所税は、人口・企業の集中に伴う都市環境の整備のための財政需要の増大に対処するため、1975年度税制改正で市町村の目的税として創設されました。高度経済成長末期です。当初は政令指定都市など人口50万人以上の都市が課税団体でしたが、その後人口30万人以上の都市とされました。市町村税とはいっても、町村や一般の地方の市とは無縁な大規模市税です。

対象となる市が増えている
平成の市町村大合併で、大きな地方中核市の周辺の市町村が合併消滅編入された結果として、規模要件を充足する形式上大きな市が増え、課税団体と判定される市が増加しています。市町村合併特例法により、人口が30万人以上になったとしても少なくとも5年間は課税団体になれないことになっていましたが、その経過期間も過ぎて、新規の課税自治体が増えているところです。

異変が起きている
現在は、東京都の特別区を筆頭に、政令指定都市20市のほか、55市、合計76市が課税自治体になっています。その結果、まわりは山と田畑ばかりである地域の企業が課税対象地域に含まれることになる、という新たな現象が生まれ、突然思いがけない課税が起きることになったという事例が現れています。

事業の拡大の結果の課税ではなく
都市の中に事業所を増やしたので課税されることになったというのが通常ですが、周辺農山村が市に編入されたので農山村部の事業所が課税されるようになる、というのは予定外の事態です。なお、事業所税の事業所とは、事務所、店舗、工場、倉庫等を指し、自己の所有に属するか否かは無関係で、賃借物件も含まれます。

事業所税の留意すべき問題点
事業所税の免税点は、事業所床面積1000㎡以下、従業者数100人以下で、それを超えると㎡当り600円、給与総額の0.25%という課税が、基礎控除等激変緩和措置のないまま生じます。床面積免税基準を超えると最低でも60万円の納税額となります。床面積や給与への外形標準課税で、赤字企業でも課税です。固定資産税や事業税の外形標準課税とも重複性があります。

役員と旧姓の登記

更新日時:2016/03/22

夫婦別姓について最高裁が初めての判断
平成27年12月、夫婦別姓を認めない民法の規定について争った裁判で、最高裁判所が初めて「憲法に違反しない」という判断を示しました。夫婦が同じ名字にするか別々の名字にするかを選べる「選択的夫婦別姓」については、女性の社会進出などに伴い長い間検討されてきましたが、今後も制度の必要性を巡ってまだまだ議論が続きそうです。そうは言っても、職務上旧姓を利用しないと不便が生じる方も多いですよね。民間企業や公務員、弁護士などの国家資格者をはじめ、旧姓利用を可とする団体もだいぶ増えてきました。こうした流れを受け、昨年から、法務局でも役員の旧姓を登記することができるようになっているのをご存知でしょうか。

法務局でも婚姻前の氏が登記可能に
これまで、商業登記簿では戸籍上の氏でのみ登記を認めていたため、普段対外的に旧姓で職務を行っている役員であっても、登記簿上では新姓しか確認することができませんでした。周囲が馴染んでいる氏と登記簿上の氏が違うと、同一人物であることを都度何らかの資料で説明しなくてはならず、不便な思いをされた役員の方々も少なくないでしょう。平成27年2月27日に施行された「商業登記規則等の一部を改正する省令」では、商業登記簿の役員欄に役員の婚姻前の氏を併記することができるようになっており、こうした煩わしさから解消されることにも期待が持てそうです。

登記の申出方法
婚姻前の氏の登記については現在、①設立の登記、②清算人の登記、③役員又は清算人の就任による変更の登記、④役員又は清算人の氏の変更の登記のどれかを申請する際、同時に申し出ることが認められています。これらの登記を行う際、婚姻前の氏を証する書面として戸籍謄本等を添付することで、旧姓が括弧書きで併記されます。尚、旧姓の登記ができるのは婚姻により氏を改めた方に限られており、旧姓のみの登記ではなくあくまで新姓と旧姓との併記になることには注意が必要です。旧姓でお仕事をしていらっしゃる役員の皆様は、次の役員変更登記を行う際に、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

 

留学生新卒者研修・配属の注意点

更新日時:2016/03/18

新卒者の入社時研修
新卒者が本社勤務になる前に、まずは自社の業務を知るため、現場での研修を積むのは決して珍しいことではありません。その研修結果を基に適性を見て、具体的な配属先を決めることもあるでしょう。しかし、留学生の新卒者をこうしたステップで受け入れる場合には、少し注意しなければならない点があります。

就業内容が限られている「ビザ」
外国人の方は、30種類ある在留資格(いわゆる「ビザ」)のうち、日本での滞在目的に合わせたどれか一つを持って在留しています。現在、留学生の方の約8割が「留学」ビザから就職と同時に「技術・人文知識・国際業務」というビザに切り替えており、留学生を採用した企業のほとんどが、このビザを持った新卒社員を雇用することになります。このビザで許可されている就業内容は「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」と規定されており、職種としてはエンジニアや通訳、翻訳、貿易関連業務などが当てはまります。あくまで高度な知識・技術が必要とされる業務であり、いわゆる単純労働には従事できません。

「ビザ」と研修時の注意点
たとえば食品の輸入を行い、その販売小売店を経営する企業が、本社の貿易業務を担当する要員として留学生を採用したものの、社内の業務を把握させるため、店舗で販売員として研修するよう命じることは自然なことでしょう。しかし、販売員として接客に当たることは「技術・人文知識・国際業務」ビザで許容される内容ではないため、いくら研修とは言ってもこの期間があまりにも長いと不法就労とみなされかねません。では、どれくらいの期間であれば研修として単純労働への従事が認められるのでしょうか。これについて具体的な規定はありませんが、法律上、「当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合」は「在留資格を取り消すことができる」とされていますので、この3か月というのがひとつの目安にはなります。また先述の通り、就業内容はビザで許容される範囲にとどめる必要がありますので、当初配属予定であった職種から変更する場合は慎重に検討しましょう。

日本における難民認定申請の現状

更新日時:2016/03/18

各国での難民受け入れと課題
内戦が続くシリアからの難民受け入れが課題になり、世界では積極的な受け入れを求める声が高まっていましたが、フランス・パリでのテロ等を受け、各国で難民申請に関し慎重な対応を取らざるを得なくなってきました。しかし、テロ以前は日本でも難民の受け入れに協力的であったかというと、決してそうとは言えません。そもそも日本の難民認定制度は、他国と比較して圧倒的にハードルが高いのが実情なのです。

日本で「難民認定」は難しい?
「難民」とは、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」とされています。難民として認定されるためには、この定義に当たることを申請者自らが書面等の証拠や証言により立証することを求められます。しかし、実際のところ、「迫害を受けるおそれがある」ことを、書面で立証することが極めて重要な日本の運用では、この認定に足る十分な証拠資料を集められるケースはごく稀です。平成26年度は申請が5,000件、処理数は3,169件に上りましたが、このうち難民と認定されたのはたった11件と、1%にもなりませんでした。

それでも申請件数は右肩上がり
ほとんどが認定されていないにもかかわらず、実は5年前の平成22年から申請件数自体は5倍近くにも跳ね上がっています。その要因の一つとされているのが、就労を目的とした偽装申請の存在です。平成22年3月の運用改正後、正規在留中の者が難民認定申請を行った場合については、一定期間経過後一律に就労を許可するようになったことで、就労を目的とした申請が増えたと指摘されています。しかしこれでは認定審査が長期化し、本来救済されるべき案件に支障をきたしてしまいます。こうした事態を受け、法務省では平成27年9月、就労しなくても生計維持が可能と判断される者や、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返す再申請者については、申請に対する判断がされるまでの間、在留は許可するが就労は許可しない方向に運用を見直すこととしました。難民については非常にデリケートな課題ですが、こうした現状があることは知っておく必要があるかもしれません。