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どっちが優先?遺言と遺産分割協議書
更新日時:2016/09/13
年々増える遺言作成件数
相続・遺言に対する関心は年々高まっており、平成26年1月~12月に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)は10年前から約4万件も増加し、ついに10万件を超えました。家庭裁判所で扱われた遺産分割事件も同様に増加傾向にあり、こうした背景も影響していることがうかがえます。故人の遺志をできるかぎり尊重したいものですが、遺言を書いたときと相続時では家族の状況が変わってしまうということもあります。では、遺言の内容と異なる遺産の分割をすることは可能なのでしょうか。遺言と違う遺産分割は可能?
相続人の間で遺産分割の方法を話し合うことを遺産分割協議と言い、その結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。判例では、①遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合、②遺言執行者が選任されている場合を除き、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることは事実上認められています。実際、遺言と異なる遺産分割の方法を協議することは珍しくありません。しかし、だからと言って全て遺産分割協議書が遺言に優先する、という意味ではありません。遺言の内容によっては注意が必要です。遺産分割の方法が指定された遺言
過去、最高裁では、特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言の場合、遺言者の死亡によって、財産は直ちに確定的に相続人に帰属するとした判決が行われました(平成3年4月19日最高裁判決)。「特定の財産を特定の人に相続させる内容」とは、たとえば「長男○○に埼玉県××の土地を相続させる」というのがこれにあたります。この場合、その後に行った遺産分割は本来の意味での「遺産分割」ではなく、相続人間の取引として財産が移転するものとされています。その結果、不動産の相続登記を行う際、遺産分割協議の結果をすぐさま登記できず、まずは「遺言に基づく登記」をした後、「相続人間の取引の登記」の二段階で申請しなければならないなど、相続事務に支障をきたすことがあります。こうなると手続き費用も手間も二重にかかってしまいますので、注意が必要です。消費税軽減税率の支払時意思表示制度
更新日時:2016/09/13
消費税軽減税率導入は増税延長でも確定
今年の税制改正では、10%増税の施行時期はともかく、その増税時には食料品と新聞とに8%の軽減税率が導入されるとの法規化がありました。仏英加の軽減税率とドーナツ・クラブ
海外では、消費税に軽減税率があるのは普通です。フランスでは、標準税率20%に対して、外食サービス等7%、食料品等5.5%、新聞・医療品等 2.1% と3種類の軽減税率があります。イギリスは、標準税率20%に対して、家庭用燃料・電力等7%、食料・水道・新聞雑誌・国内旅客輸送・医療品等は0%です。0%は仕入税額控除ができるので非課税ではありません。なお、販売時点で気温より高い温度の食料品は外食サービス品として、またケーキ・ビスケット以外の菓子類は贅沢品として、標準税率が適用されます。カナダでは、標準税率5%に対して、食材・農産品・処方箋薬・医療機器等は0%です。なお、その場ですぐに食べるかどうかが食材か否かの判定基準でもあり、ドーナツについては、販売個数が少ない5個以下だと、その場で食べる「外食」とみなして標準税率を適用し、6個以上だと持ち帰り食材としてゼロ税率を適用します。そのため、即席の「ドーナツ・クラブ」が作られ、共同購入するのだ、というのは知られた話になっています。コンビニのチンは外食か
今年の改正税法令を見ると、イギリスに似て、加熱を伴う飲食料品の提供は軽減税率の対象外なので、コンビニでチンして受け取る弁当などは外食扱いになる可能性があります。食堂で食べる場合でも、学食は外食扱い、学校給食は特定の場所での選択肢のない全員強制のものなので軽減税率適用、老人ホームの食堂も非外食扱いです。レジで持ち帰りと言えば軽減税率
今年の通常国会での税制改正論議では、ドーナツ・クラブと似て、持ち帰りの意思表示があれば、顧客が実際にどこで食べたかということは追求せず、軽減税率の適用をするので、その場で食べても不足額を追徴することはないとか、ペットフードであっても人間も食べられるものなら軽減税率の対象になるとか、の議論の中で、安倍総理が、「ペット用のセサミンを家内に渡したら、ずっとそれを飲んでいた」との答弁をしたようで、議事録にも載っていました。取締役と会社の利益相反取引
更新日時:2016/09/13
取締役と利益相反取引
買い物をするとき、消費者であればできるだけ安く購入したいと考え、販売者であればできるだけ高く売りたいと考えますね。このように、お互いの利益が対立する状態を「利益相反」と言います。利益相反は、立場が違う者同士に関係が生じれば自然と発生しうるもので、これは取締役と会社の関係であっても同様です。では、本来会社に利益をもたらすべき取締役が、会社と取引をすることに問題はないのでしょうか。取締役は会社に対し忠実に職務を行う義務を負っておりますので、会社の利益を犠牲にして自分や第三者の利益を図るような取引は認められません。会社法ではこのような利益相反取引を規制しており、客観的に利益相反にあたる取引を行う場合には会社(取締役会または株主総会)の承認を得なければならず、この承認を得ずに行った取引は原則として無効になると解されています。利益相反取引にあたるかどうかは、公正な条件の取引かどうかではなく、利害対立が起きうる関係であれば一律に利益相反とされますので、事前の承認を得なければならない場面は思っている以上に多いものです。利益相反取引の具体例
たとえば、古くなった社用車を取締役個人の名義に変えるという場合は会社から社長への譲渡取引になりますが、本来であれば売却価値のあるものを、無償又は廉価で譲渡することにより会社が損害を受ける可能性があるため、利益相反取引になります。また、取締役個人が持っている不動産や株式を会社名義に変えたいという場合も、無償譲渡でない限り利益相反取引になります。一見すると会社にとって有利に思われる低廉な価格での譲渡であっても、会社に支払いや負担がある以上、会社の利益を害する可能性があるため、承認が必要になるのです。迷ったときには事前の承認を
利益相反取引を規制する趣旨は会社の利益保護にあります。よって、会社に不利益を与える可能性のない取引、たとえば取締役が会社に対し、金銭を無利息・無担保で貸し付けるといった場合は、会社に不利益を与えるものではないため、利益相反取引にはあたりません。なかなか難しい判断ですので、利益相反取引になるかどうか迷った場合には、事前に会社の承認を得ておいた方がよいでしょう。ディラン、クラプトン、パープルが来日 来日芸能人の消費税課税方式の見直し
更新日時:2016/09/12
来日芸能人の消費税課税方式の見直し
2016年は往年のロック・レジェンドの来日が目白押しです。この4月以降に来日の主な外国人アーチストは次のような方々です。
〔2016年4月以降の来日アーチスト〕
4/4~4/28BOB DYLAN
4/12~4/15BRIAN WILSON(The Beach Boys)
4/13~4/19ERIC CLAPTON
5/9~5/18DEEP PURPLE国外芸能人の芸能活動は「特定役務の提供」
彼らの来日に合わせて…という訳ではないのですが、日本では4月1日より国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式が見直されています。国外事業者が国内において対価を得て行う他の事業者に対して行う次の行為は、「特定役務の提供」と位置付けられました。
① 芸能人として行う映画撮影、テレビ出演
② 俳優、音楽家として行う演劇、演奏
③ スポーツ競技大会等への出場「特定役務の提供」はリバースチャージ
これは、国外事業者が他の事業者に対して行うものですので、不特定多数の者に対して行う役務の提供は含まれません。国外事業者から「特定役務の提供」を受ける事業者は、「特定課税仕入れ」として、「リバースチャージ方式」により消費税の申告・納税を行うこととなりました。たとえば、日本のプロモーター(興行主)が日本国内で企画したコンサートに国外事業者に所属するアーチストを出演させる場合には、国外事業者が他の事業者(日本のプロモーター)に役務提供を行っているため、「特定役務の提供」に該当し、リバースチャージ方式により、日本のプロモーターに消費税の納税義務が生じます。海外プロモーターの直接開催は非該当
一方、日本のプロモーターが一切関与せず、海外のプロモーターが、日本の会場を借りて、直接、観客にチケットを販売して所属するアーチストのコンサートを行う場合には、「不特定多数の者に対して行う役務の提供」にあたるため、「特定役務の提供」には該当しません。この場合、従来通り、海外プロモーターに消費税の納税義務が生ずることになります。軽減税率とインボイス
更新日時:2016/09/12
軽減税率対象品目及び税率
今年の税制改正では、消費税の軽減税率導入の法規化がありました。
(1)対象品目は、①飲食料品(食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)で、外食サービスでの対象品を除きます。)、②定期購読契約が締結された週2回以上発行の新聞、です。
(2)軽減税率は、6.24%(地方消費税と合わせて8%)です。10%増税は正式に延期が表明された
サミットの場を利用した理由付けを経て、予想通り、正式に延期声明が出されました。しかし、軽減税率導入・インボイス制度導入の骨格は、今年の税制改正で固まっております。発せられた声明による延期は来年4月から施行予定の消費税率10%への増税についてであって、同じく来年4月から施行予定のインボイス制度導入については、必ずしも延期されるわけではありません。ワンセットで導入された軽減税率・インボイス制度のうち、インボイス制度のみは予定通りの施行かもしれません。適格請求書発行事業者登録制度
インボイスは改正税法では、適格請求書という新しい言葉で規定されています。マイナンバーとは別にインボイス登録番号が作られます。所轄税務署長に申請して審査を受けて登録番号を確保しなければインボイスは発行できず、逆に、登録番号を授与された者は、課税事業者選択届を提出したと同じことになり、その取消しの届け出をしない限り免税事業者に戻ることができません。適格請求書等保存方式の創設
インボイス番号のない請求書等には消費税額の記載が出来ず、取引相手は仕入税額控除が出来ないので、番号のない者は経済取引から排除されることになりそうです。適格請求書(インボイス)への偽り記載や誤認されそうな類似書類の発行は禁じられており、その他消費税法違反で罰金を科されると登録拒否・取消にされることになり、国外事業者だと国税の滞納があることだけで登録拒否・取消になります。国税庁の最も強い要求
国税庁は番号制度で経済取引への管理強化を実現し、違反・非協力事業者に対する生殺与奪の権限を得たようです。番号制度が実現するなら増税延期も許容範囲、が国税庁の思惑と思われます。「中部電力事件」で考える有姿除却か?評価損か?
更新日時:2016/09/12
火力発電所の有姿除却
法人税の裁判で火力発電所の有姿除却(固定資産が物理的に廃棄されていない状態で税務上除却の処理を行うこと)が争われた「中部電力事件」というものがあります。これは、電力会社が電力供給過剰の状態となったため、法定耐用年数を経過した旧式火力発電所を、電気事業法の廃止手続をとった上で54億円の除却損を計上したところ、税務当局より「実際に解体済みであったものを除き、再使用の可能性がないと客観的に認められない」として否認されたため争いとなったものです。裁判所は、仮に多大な費用と時間をかけて、低効率な旧式の設備をわざわざ再稼働させる経済的な理由がない――いわば「経済的観点から再稼働することはなかろう」ということで会社が行った有姿除却処理を認めました。有姿除却の要件
法人税の通達では、次の固定資産については、たとえ廃棄していない状態でも「帳簿価額-処分見込価額」を除却損として損金計上できるものとしています。
① その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
② 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの評価損の方が「法のハードル」は低いが…
ただ、税務調査では、再稼働の余地があるかないかで意見が分かれることが多く、当時は非常に注目された裁判でした。もし、会社が税務当局との意見の相違を避けるのであれば、「その資産が1年以上にわたり遊休状態にあること」を理由として固定資産の評価損を計上する余地がありました。確かに「評価損」の方が、外見上ハードルが低く、筋が良いようにも見えますが、問題はその「評価損」の額です。評価損の額は、期末の「時価」との差額ですから、その算定に議論の余地がありそうな上に、有姿除却の場合の「除却損」(帳簿価額-処分見込価額)よりは大きな金額は見込めなかったのでしょう。有姿除却の方は法のハードルが高くても、認められれば、金額の争いは少ないと思われます。