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融資申請時の「決算書」にお悩みの方へ

更新日時:2013/10/29

本日は中小企業が融資を申請する際の不安要素たる「決算書」について説明したいと思います。大手企業や監査法人の方はピンとこないかもしれませんが、中小企業の現場ではかなりリアルな例です。そして私はもともと事業創出をファイナンスの側面から支援したい、という想いのもと事務所を立ち上げているので、このテーマは大好きな分野の一つです。さて本題に入りましょう。

税務申告や融資を受ける際には神経質になってしまう決算書。税金は払いたくないから赤字を出したいが、融資を受けたいとなるとなんとか利益を多く見せたい…。国税向けか銀行向けか、二つ作ったらさすがに粉飾だし、どうしよう…。ただ今はなんとかして融資を通さないといけない…が、税理士から出てきた決算書は以下の通り…

以下の決算書Aを見てください。

決算書A

資産項目
現金 500,000円
売掛金 100,000円
機械 500,000円
敷金 300,000円

負債項目
借入金 500,000円
未払金 600,000円

損益項目
売上 1,000,000円
原価・販間費 1,200,000円
営業利益 △200,000円
雑収入 150,000円
経常利益 △50,000円

上記の決算書は、現金・売掛金を合わせた流動資産600,000円に対して、借入金・未払金を合わせた流動負債が1,100,000円もあります。さらに売上高よりも原価・販間費が多く営業利益は△200,000円となっております。決算書から読み取るに会社は流動資産と比較して流動負債が多いため資金ショートのリスクが高く、さらに営業上も赤字が出てしまっているという危機的状況です。このような状況において上記の決算書を銀行に提示した日には融資をしてくれる可能性はかなり低いと推測されます。

金額感や項目は当然区々ですが、融資に関してご相談頂く際は、上記のような状態がほとんどです。正直銀行に持っていくのも嫌だと仰る経営者も非常に多いです。しかし諦めるのはまだ早く、このような場合も、経営者へのヒアリングを進めていくと往々にして以下のような発見があるものです。

・未払金 600,000円は所有権移転外リース契約をしている機械にかかるものである
・借入金 500,000円は社長からのものであり返済予定は会社が上向いてきたらで大丈夫
・販間費の中に臨時的・日経常的な理由で支出した損害賠償金 250,000円が含まれている
・雑収入 150,000円は従業員から徴収する社宅代金である

どうでしょうか。上記の例はどこの中小企業でも至って普通に在り得るのではないでしょうか。もしご覧頂いている方の会社もそうであれば、そこに望みがあります。この場合、100%合法的に決算書を修正することができます。それも劇的に生まれ変わるレベルで。

まずは結論から見て頂くと、「100%合法的に」以下の決算書Bに修正することが可能です。

決算書B

資産項目
現金 500,000円
売掛金 100,000円
機械 なし
敷金 300,000円

負債項目
流動負債 なし
長期役員借入金 500,000円

損益項目
売上 1,000,000円
原価・販間費 800,000円
営業利益 200,000円
雑収入 なし
特別損失 250,000円
経常利益 △50,000円

上記の決算書は、流動資産600,000円に対して流動負債はなく、売上1,000,000円に対して原価・販間費が800,000円ですので営業利益が200,000円、そして臨時的理由から250,000円支出してしまったので経常利益はマイマスの50,000円となっています。決算書から読み取るに、流動比率が高くただちに資金ショートする可能性は低く、かつ経常利益こそ赤字のものの、やむを得ない特別損失が原因であり、営業そのものでは200,000円もプラスを出しているので、健全な会社ではないかと思います。これであれば融資も受けれらる可能性も高いのではないでしょうか。少なくともこの決算書を持っていけば経営者も堂々と銀行に対してプレゼンテーションできると思いませんか?

いかがでしょうか。決算書Aも決算書Bも全く同じ事実のもとに作成された決算書です。事実が同じである以上、会社の状況は全く同じはずなのです。しかしここまでに見栄えが異なります。しかもこれは粉飾どころか、実態をより反映したピカピカに正しい「あるべき決算書」です。

中小企業の会計というのは、よくも悪くも税務に引っ張られすぎています。(やや専門的ですが…)リース処理のオンバランスとオフバランスを検討したり、資産負債の長短分類を行ったり、役員と外部の借入金・未払金を分離したり、雑収入にするか販間費のマイナスのどちらにするかを検討したり、販間費と特別損失の検討をしたりしなくても、税金計算はできてしまいます(税金額の算定に影響がないと国税もあまりチェックしないので)。そのため決算書Aのような財務諸表を中小企業の間では当然のように頻繁に目にします(大手監査法人出身者からすると驚愕ですが、本当に中小企業の現場では多いのです)。しかしそれらを検討せずして処理した決算書は、金融機関・取引先などの外部に決算書を提出する場合においては自社の価値を下げているだけであり勿体ないと思います(金融機関以外でもM&Aや株の譲渡にしても財務諸表は価値算定の根拠になり重要ですね)。

決算書Aを見て、ビクビク過ごす必要はないのです。税務に留まらない会計プロフェッショナルの目から見ればきっと貴社も決算書Bに成り得ます。決算書Bを持って堂々と金融機関にプレゼンテーションしましょうね!ご質問やお悩みがあればお気軽にどうぞ!

海外需要獲得型起業・補助金

更新日時:2013/10/22

先日、経営革新等支援機関に認定頂いて以降、数多くの助成金申請のご相談を受けておりますが、本日はその中でも「海外需要獲得型起業・補助金」について説明したいと思います。こちらは額も大きく、海外進出を考えている方にとっては大きなチャンスですので必ずチェックしてみてください。

まず、海外需要獲得型起業・補助金とは、海外市場の獲得を念頭とした事業を、日本国内において興すものと定義されており、使った経費の3分の2を最大700万円まで補助してもらえます。(海外市場の獲得が間接的である事業や国内における事業の延長に過ぎない事業などは対象外とされているのでご留意ください)

補助金の名称自体も海外需要獲得型「起業」補助金ということで、①平成25年3月23日以降に起業したもの(個人も会社も可)、②これから起業するもの、が対象となっております。また、申請から採択までの流れとしては、事業計画や指定フォーマットによる申請書を経営革新等支援機関と作成し、金融機関の覚書を経て書類を申請し、書類選考を通ると調査員との面談審査を行い、面談審査に通ると採択決定となります。面談は創業者からの事業計画のプレゼンテーションがメインであり、あとは質疑応答になります。(経営革新等支援機関も面談に同席し、調査員からの質問に答えます)

上述した通り、補助金の上限は700万円と大きいのですが、補助金の対象となる経費とならない経費がある点に注意が必要です。実際の規定は事細かに決まっているため全てを列挙することはできませんが、海外に進出を検討している方がおさえておくポイントとしては、以下であると思います。

補助金の対象となる経費
・海外で従事する日本人の人件費(国内の事務所と直接雇用契約を締結した場合)
・海外出張旅費(交通費・宿泊費)
・調査のためのマーケティング費用(外注費など)

補助金の対象とならない経費
・海外で店舗・事務所の賃貸契約にかかる賃借料・共益費・借り入れに伴う仲介手数料
・海外現地人の人件費
・海外で使用する機械装置・工具器具備品の調達費用

海外進出を行う場合は、ご自身が現地に行く旅費や各種調査にかなりの費用が係ることを想定すると、旅費や調査のためのマーケティング費用が補助金の対象というのはとても大きいのではないでしょうか。

こちら興味がございましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。(ちなみに応募締め切りは2013年12月24日です)

合同会社と株式会社|これから会社を設立する方へ

更新日時:2013/10/02

昨今では「合同会社」という言葉をよく聞くようになりました。合同会社とは会社法で定められた会社形態であり、新しく会社を設立される方々にとっては株式会社と並ぶ選択肢となっています。

そもそも会社形態は、会社を設立する方の責任が無限(もしもの場合個人資産を売却してでも責任を負う)であるか、有限(もしもの場合も会社資産が責任の限度であり、個人資産まで責任を負う必要はない)であるかによって2つに分類できます。会社法の言葉を使うと無限責任を負う必要がある会社を「合名会社・合資会社」と呼び、有限責任で良い会社を「合同会社・株式会社」と呼んでいます。

このように上述しただけでも会社形態は「合名会社、合資会社、合同会社、株式会社」と4つ登場しましたが、実際にこれからビジネスを開始する方々にとって無限責任を負う合名会社・合資会社を選択することは考えにくいので(特殊な場合を除き)、合同会社と株式会社の2つが現実的な選択肢となってくると思います。

とはいえ、今この記事をご覧になられている方々の中には、「株式会社はわかるけども合同会社って何だ?聞いたことないぞ、普通は株式会社だろ」という方も多くいらっしゃるのではないかと思います。合同会社は平成18年施行の会社法で新設された名称のためまだ知名度は低いですが、実は非常に優秀な会社形態です。有名どころで言えばiPhoneで有名なアップルジャパンも実は株式会社ではなく合同会社なのです。あまり細かな話をすると長文になるので割愛しますが、これから会社を設立しようと思っている方であれば「株式会社」にできて「合同会社」にできないことはほとんどありません。株式会社は出資者と経営者が分かれているのが原則、合同会社は出資者と経営者が一致していることが原則という「原則の考え方」に違いがあるものの、それぞれ特段の定めをすることで結果として同じような仕組みをつくることができます。(限りがないのでここには書ききれませんが、出資額と経営権限についての細かな質問などあれば、お問い合わせ頂ければお応え致します)

それでいて、株式会社と比較すると「決算公告義務がない」、「設立費用が約半額」、「役員任期がなく変更登記費用も不要」といった費用や手間に優しい規定が多く存在します。一方でこれから会社を設立される方にとっての地味なデメリットと言えば「代表取締役」を名乗れないことが結構痛かったりします。これは冗談でなく、意外とあるのです。特に初めての会社設立の場合は代表取締役の名刺を持つことが大事だったり…。ちなみに合同会社の場合は代表社員という肩書になります。

さて、最後の方は少し脱線してしまいましたが、合同会社について少しでもご理解いただけたでしょうか?実際の設立前には税理士や司法書士に相談し、全ての事情を勘案した上で意思決定する必要がありますが、何も悩まずに株式会社!ではなく、合同会社も一つの選択肢に入れて十分にご検討されることをおススメ致します。