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ファンド組成

大法人が中小企業になった場合の欠損金

更新日時:2015/06/26

本日は、大法人が中小企業になった場合の欠損金に関する記事です。

シャープの「中小企業化」報道
シャープの経営再建の記事が、連日新聞の紙面に取り上げられています。同社が公表した中期経営計画では、欠損てん補のため資本金約1,200億円の減資を行い、その後に取引銀行とのDES(デット・エクイティ・スワップ)等による約2,250億円の増資を行うこととされています。当初、資本金を1億円とする減資を行い「中小企業」となると報道されていましたが、政府関係者や市場等の反応が芳しくなく、正式発表時には5億円までの減資に変更されました。

減資を行う場合の法人税務への影響
減資を行う場合の参考として、法人税務では「資本金の額」を基準とするものと「資本金等の額」を基準とするものがあります。「資本金の額」とは、登記されている「資本金」の金額そのものを指します。この「資本金の額」を基準とする税制には次のようなものがあります。

貸倒引当金の繰入、青色欠損金の控除制限、法人税軽減税率、留保金課税の不適用、特別税額控除・特別償却、交際費等の定額控除額、欠損金の繰戻還付、少額減価償却資産の損金算入、外形標準課税

一方、「資本金等の額」は、株主が払い出したものとされる一定の金額(税務上の資本金と資本剰余金の合計概念)です。この「資本金等の額」を基準とするものには次のようなものがあります。

みなし配当、一般寄附金の損金算入限度額、法人住民税の均等割、事業税の資本割

なお、無償減資を行い、「資本金の額」が減少したとしても、「資本金等の額」には異同は生じません。

大法人が中小法人となった場合の欠損金
平成27年度税制改正では、法人税率引下げの代替財源確保のため、「資本金の額」が1億円超の法人の欠損金繰越控除限度額が現行の欠損金額×80%から65%(最終的には50%)に引き下げられました。巨額の赤字がある会社では欠損金の有効利用を考えた場合、「資本金の額」1億円への減資は施策の一つとして考えられるものです。この場合、「大会社時代に生じた欠損金は80%しか認められないのでは?」と心配になるところですが、期末の「資本金の額」が1億円以下である限り、100%控除はできるものと考えられます。

会計事務所が使う「会計ソフト」

更新日時:2015/06/25

本日は、会計事務所が使う「会計ソフト」に関する記事です。

会計事務所が使用する「会計ソフト」
第6回「税理士実態調査報告書」(H27年3月 日本税理士会連合会)では、税理士事務所(税理士法人)が使用している会計ソフトのアンケート結果が公表されています(回答者25,970名、複数回答)。最も利用されている会計ソフトベンダーは「弥生(弥生会計)」の29.0%。以下「JDL」(17.1%)、「日本ICS」(14.5%)、「TKC」(14.0%)という結果でした。

会計ソフトベンダー 回答数 割合
①弥生(弥生会計)

②JDL

③日本ICS

④TKC

⑤MJS

⑥エプソン

7,529

4,428

3,763

3,634

3,118

2,711

29.1%

17.1%

14.5%

14.0%

12.0%

10.4%

上位6社でかなり高い占有度を示していますが、2位以下の会社は会計事務所との付き合いの中で、はじめて名前を知ったという方も多いと思います。これらは「会計事務所向け」のソフトベンダーです。

会計事務所向けベンダーと市販ソフト
「会計事務所向け」のソフトベンダーは、会計事務所ごとに担当営業を置き、会計事務所は、彼らから提供を受けたソフトを顧問先に勧める形になります。そのため、顧問先と会計事務所との連携がしっかり取れるソフトであり、税理士の本来業務である「税務」には強いという「安心感」があります。ただし、会計事務所内の大量処理を念頭に置いたソフトでもあり、伝票・仕訳を意識した「教科書どおり」の作りでもあるため、経理を知らない方から見ると、わかりづらい面もあるかもしれません。これに対して、「弥生会計」や「PCA会計」「勘定奉行」などの市販パッケージソフトは、ユーザーフレンドリーなアイコンを用いており、分かりやすい操作感と低価格が特徴です。会計事務所は基幹ソフトとして「会計事務所ベンダー」のソフトを利用しながら、市販ソフト(中でも「弥生会計」)も併用しているというのが実情です。

それぞれに特徴があります!
どちらにせよ「遡及訂正ができないソフト」「エクセルデータの出し入れが行いやすいソフト」「分散入力に強いソフト」「部門計算が強いソフト」など、それぞれに特徴があります。会社の規模や業種によっても、様々な選択がありえるところです。

名簿売買時代のマイナンバー

更新日時:2015/06/24

本日は、名簿売買時代のマイナンバーについての記事です。

住民票データ公開の時代から
住民票は、2006年10月までは、公開情報でした。選挙民のデータやダイレクトメール宛先データとして、自由に閲覧・複写が許されていました。このデータをもとに、名簿業者は、企業や団体の住所録や紳士録、あるいは高額所得者リストとか消費者金融顧客リストとか、様々な名簿を付け加えて、名寄せをし、特定の人々の詳細なデータを集積し、さらに地域や年齢や社会階級や消費嗜好や病歴などなどと様々に分類して、売却価値の有る名簿商品を作っています。

現金よりカード
カードで購入すると割引があるけれども、現金で買うと何の割引もない、というのは今では当たり前です。後払いの場合でも、ポイントやショッピング保険がつくため現金払いよりもカード有利になっています。カード利用者は買物好きになるから、と言えたとしても、それ以外に、明らかにカードに集積される個人データに価値があるので、企業としては、カードの利用を推進するための費用負担をしているのです。

ネットはすべてを知っている
スマホは、手のひらサイズのコンピューターとして、メールのやりとり、WEBページの閲覧、ゲームやSNS、ネット通販での買物、お財布ケータイ、モバイル定期券、などなど朝から晩までの行動の記録を残し、それがネットを介してサービス提供会社に提供されています。本人特定ができれば、他の種々のカード情報とも、ネット上でひも付けされ、特定個人に関する情報は本人自身の自覚以上の本人に関する正確なデータになります。

マイナンバーは情報ひも付け役
マイナンバーは、国や自治体による税や社会保険料の徴収などに役立てることからはじまり、投資口座・預金口座の管理、そして戸籍事務、旅券事務、医療・介護・健康情報の管理・連携、自動車検査登録事務の各分野での利用に拡大していくことが検討されており、マイナンバーカードの身分証明書機能から、クレジットカードの機能も持たせることも検討に含まれています。こう見てくると、永久不変のパスワードとしてのマイナンバーが、種々のカードやスマホ、ネット情報の中心的なひも付け役になっていく可能性の大きさに身震いしそうです。

税務調査の概念の修正

更新日時:2015/06/23

本日は、税務調査の概念の修正についての記事です。

「調査」により更正する
税法では、更正処分、再更正処分、再々更正処分は「調査により」行うこととされています。従って、税務調査が終了し、更正処分や修正申告がなされた後、税務署長がそれをさらに変更するような再更正を行うには、再調査が必要です。しかし、再調査は「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」にのみ行うこととされています。一度調査が行われたら、余程の新情報がない限り、再調査はありません。

「調査」による減額や繰戻還付
既に行った申告について、納付すべき税額が多すぎた場合、申告書に記載した翌期へ繰り越す欠損金が少なすぎた場合、申告書に記載した還付税額が少なすぎた場合などでは、納税者から税務署長に対し減額更正の請求ができます。また、所得が赤字だった時の、その前の期間への赤字の繰り戻し請求という制度もあります。これらの請求により、税務署長が減額修正、還付処理をする場合には、「調査」し、その「調査」したところにより、処分や還付を行うことになっています。これらの税負担を軽減する処置もそれぞれ「調査」を経て行われることになっていますが、「調査」といっても、机上調査とか電話確認調査とかの程度の「調査」で済ませている事例が多そうです。

「調査」概念の統一性?
「調査」という言葉は税法の中に何回も出てきますが、それらが、同一の意味なのだとすると、減額更正や繰戻還付の請求があって、机上調査で処理が済んだ場合、その年分に関しては一度調査がなされたということなので、もはや「新たな情報」がない以上、通常の税務調査は行えないのか、という疑問が湧きます。税務当局も、こういうことについて、このままでは、まずいと判断したようで、今年の税制改正で、異なる2種類の調査概念を設けることにしました。

「調査(実地の調査に限る)
机上調査とか電話確認調査とかをもって「調査」としてよい場合と、実地に出向いて行われる臨場調査のみを「調査」という場合とに、法律上の「調査」という言葉を使い分けることになりました。

消費税 課税事業者の判定

更新日時:2015/06/22

本日は、消費税 課税事業者の判定における「被相続人の事業を承継した」の意義についてです。

その年に相続があった場合において、その年の基準期間における課税売上高が千万円以下(ゼロも含む)である相続人が、当該基準期間における課税売上高が千万円を超える被相続人の事業を承継したときは、当該被相続人の当該相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの間における課税資産の譲渡等については、免税事業者の規定の適用はありません。

消費税法上の相続及び相続人とは
消費税法上、「相続」及び「相続人」については、「相続」には包括遺贈を含むものとし、「相続人」には包括受遺者を含むものとする、と規定しています。この規定は、「包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する」、この民法の規定からきているものと理解されます。では、特定遺贈の場合はどうなるか、ですが、遺贈は相続ではなく遺言による贈与の一種ですから、相続による承継にはあたらない、と考えられているようです。しかし、本来の相続人は包括遺贈を受けるかどうか、特定遺贈を受けるかどうかにかかわらず相続人であることに変わりありません。とすれば、相続人に対する特定遺贈は、当然に、相続による承継に含まれるのでは、と理解することもできます。

消費税法の法令解釈通達の文言
しかし、法令解釈通達では、この事業の承継の解釈にあたっては、単に、特定遺贈によるものは含まれないとし、その特定遺贈が相続人に対するものなのか、それ以外の者に対するものなのか、まったく触れていません。ただ、素直に読めば、特定遺贈はいずれの場合も「承継」にはあたらない、と取ることもできます。解説書の中には、特定遺贈について「たとえその者が相続人であっても相続によって事業を引き継いだことにはならない」と論述しているものもあります。

「遺贈する」と「相続させる」の文言解釈
相続人に対する特定遺贈で「遺贈する」と「相続させる」の文言があります。どちらでもよさそうですが、最高裁は、「相続させる」の文言は、遺産分割方法の指定であると解し、当該遺贈を放棄するには相続そのものを放棄しなければならないと解しています。とすれば、相続人に対する特定遺贈について、その文言が「相続させる」であっても、相続による事業の承継には当たらない、との理解でよいかどうか疑義が生じます。

マイナンバーが可能にする満足税

更新日時:2015/06/21

本日は、マイナンバーが可能にする満足税に関する記事です。

マイナンバーの周知化は間に合うか
日本居住者総背番号制度というべきマイナンバー制度の実施が始まることに向けて、国家の各機関の動きがいよいよ急になり出しました。国民に付番されるマイナンバーを国民自身には他に告知する義務はありません。告知の強制もできません。しかし、義務であり、強制であるかの如き、マスコミ情報が流されています。制度の是非を論ずる機会を暗黙裡に抹殺する合意をもって、動き出しているかのようです。

マイナンバーは必要か、有効か
明治維新後の国家のように、徴兵制を敷くわけでもなく、戦後の混乱期のように、預金封鎖を実施して国民の財産の没収を企図しているわけでもなければ、国民管理のための付番の必要性は薄そうに思われます。税の有効な徴収という側面から、国民に対する番号管理を考えるとしたら、国民の2、3割程度の富裕層の財産管理ができれば十分なはずで、小市民の源泉税まで番号管理する必要性はなさそうです。

マイナンバーの真の狙いと機能的活用
5000万円超資産の海外財産保有者、2000万円超所得者で且つ3億円以上の財産(有価証券だけなら1億円以上)保有者については、財産明細の申告を義務付けることになりましたが、マイナンバーでの管理の本当の狙いはこの層にあります。国外への出国に際しての、課税消失を防ぐための出国税の創設は今年の税制改正項目で既に実現しています。

富裕税から累進消費税(満足税)へ
財産捕捉のための番号管理は、まず相続税・贈与税の課税漏れ防止、それから、富裕税という財産への直接課税の制度化、さらには累進消費税の創設を可能にします。真の所得とは満足である、という租税学説があります。満足とは消費とも置き換えられます。従って、真の所得である消費の総量に累進課税をすることこそ、あるべき税制かもしれません。満足税です。消費の総量は、期首純財産-期末純財産+当期利益=消費として計算できます。この消費額に累進税率を乗じ、平均税率分(現在なら8%)を控除して満足税額となります。(消費税の還付も仕組めます。)財産申告は、新たな税制を可能にします。

所得拡大促進税制における中小企業の留意点

更新日時:2015/06/18

本日は。所得拡大促進税制における中小企業の留意点に関する記事です。所得拡大促進税制、正式には、雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除です。

大企業に配慮した改正
大企業といえども適用要件の1つである①適用年度の給与等支給増加額が基準年度の給与等支給額に対する増加率5%はそのハードルが高く、また、雇用者の新規採用に比して今後もかなりの退職者が見込まれることから、もう1つの適用要件である②平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額以上とはならず、結果、この特例が適用できないこととなる事態も想定されることから、平成26年度税制改正で次のような改正が行われました。1つは、増加率は平成26年度2%、27年度は3%、平成28・29年度5%、そして、もう1つは、継続雇用者をベースにした平均給与等支給額の算定と平均給与等支給額が前期のそれを超えるとする改正です。この2つの改正により、大企業でもこの特例を容易に適用できる環境が整いました。ちなみに、この継続雇用者とは、雇用保険の加入対象者で給与等の支給を受けた国内雇用者であり、前期と適用年度のいずれの事業年度においても給与等の支給を受けた者です。加えて、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づくところの継続雇用制度の対象者は除く、とされています。

中小企業への配慮があってしかるべし
いったい何が問題なのか、ですが、対象となる雇用者給与等支給額から、使用人兼務役員の給与等支給額は除かれている、ということです。そして、その上で、適用年度の給与等支給増加額が基準年度の給与等支給額の2%増の要件を満たさなければこの特例が使えない、ということなのです。仮に、基準年度において、使用人であったものが、その後の適用年度において役員、例えば、取締役経理部長、取締役営業部長といった役員に昇格した場合、当該使用人兼務役員になった者の給与等は基準年度では雇用者給与等支給額に含まれ、一方、適用年度において除かれることになり、適用年度の給与等支給額が基準年度のそれを上回ることにはならず、結果、この特例の適用を受けられない可能性は大となります。平成26年度の税制改正においては、中小企業のこの点にも配慮した、使用人兼務役員の給与等支給額の取扱いについての改正が望まれたところでした。

ピケティの資産課税と マイナンバーと富裕税

更新日時:2015/06/17

本日は、ピケティの資産課税と マイナンバーと富裕税に関する記事です。

ピケティの提唱
ピケティの「21世紀の資本」は世界中で爆発的な売れ行きを示しています。ピケティは、資産格差を拡大させないよう、累進的なグローバル資産課税を提唱しています。個々人が持つ資産を全世界的に把握し、資産総額に応じて課税したうえで、税収を関係国間で配分するというものです。

資産課税への日本の制度化準備
わが国でも、資産総額への課税制度創設の準備は進んでいます。今年の税制改正事項として、従来の「財産債務明細書」を改変し、国外国内を問わないもので、且つ「国外財産調書」と同じように運営する「財産債務調書」制度が創設されます。懲役刑を含む罰則をもつ「国外財産調書」制度の施行に引きずられての見直しのようにも見えます。

罰則ナシでスタート
「財産債務調書」の新制度には、懲役刑を含むような罰則は設けられないようです。提出を義務付けられる人のプライバシーの開示を強制するに等しい、財産と債務のオープン化は、100%完璧な申告も限りなく不可能であろうし、心理的には相当な抵抗が予想されるところだから、と思われます。罰則がなくてもまともな申告が期待できるものでしょうか。現行の「財産債務明細書」については、罰則がないため、提出義務があっても提出しない人が沢山おり、提出はするが形ばかりというものでも、これへの問合せは皆無です。

まずはスタートで少しのフォロー
従来と違うのは、「財産債務調書」の信憑性を担保するための税務調査の制度を設ける、としているところです。相続財産の事前調査のようになりそうです。調査非協力には罰則があります。でも、調査官が職権により「国外財産調書」や「財産債務調書」の書き換えをする職権更正というのはなさそうです。

そしてマイナンバーが来年から
財産申告と施行真近いマイナンバー制度をかけあわせると、当面の狙いは、相続財産の捕捉もれへの対処であるとしても、その先に資産課税としての「富裕税」を見据えている、ことが透けてきます。富裕税は、日本でも、戦後3年間実施されていましたが、フランスには今でもあります。財産申告が富裕税の税額計算申告になるまでは、財産適正申告の実現は相当な困難事のように思えます。

今年の税制改正とマイナンバー

更新日時:2015/06/16

本日は、今年の税制改正とマイナンバーに関する記事です。

税制改正大綱のプラン
税制改正大綱では、国税通則法を改正し、銀行等に対し、マイナンバーによって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課す、としていました。しかし、グリーンカードでの預貯金管理を狙った1980年代での付番はマル優(少額貯蓄非課税制度)口座重複開設への対策だったものの、現在はマル優預貯金は障害者などに限定適用なので無きに等しく、むしろ「貯蓄から投資」へと政策が変更し、投資マル優とも言うべきNISA(少額投資非課税制度)を推進しているので、預貯金への付番の必要性は低下しています。

預貯金へのマイナンバー付番はなし
国税通則法のみ、先の税制改正大綱通りの改正案になっていますが、マイナンバー法の改正での預貯金口座付番のほうは、大義が預貯金保険であり、その緊急的必要性が希薄なため、強制付番ではなく、任意付番になりました。預貯金については、口座数の大量性から全てへのマイナンバー付番は無理としても、新規のものについては義務化するのでは、と推測する向きもありましたが、結果として、平成27年改正では見送られました。預貯金口座への個人番号の付番を行う場合には、預貯金等へ損益通算範囲拡大の適用条件としてマイナンバー付番口座限定にするものと推測されます。

ジュニアNISAには即付番
平成27 年度税制改正により、平成28年4月1日から、ジュニアNISAが導入されることになりましたが、口座重複開設防止の必要性から、マイナンバー付番が義務付けられています。証券会社等の営業所長に、未成年者口座開設届出書に添付して提出する未成年者非課税適用確認書にマイナンバー等を記載することになっています。

NISAへの付番は遠からず
成人NISAに対するマイナンバー付番については、口座重複開設防止の必要性をマイナンバーで確保するには既に時機を失しているので、今年は先送りされました。しかし、法適用上の次の区切りとなる期間開始の平成30年分以後からのマイナンバー付番については、その効果があるので、義務付けられることになるのではないか、と予想されます。

合併比率と税務

更新日時:2015/06/15

本日は、合併比率と税務についての記事です。

合併の中心的な議論は、適格要件を満たすか、つまり、簿価引継ぎにより被合併会社(消滅会社)及び被合併会社の株主に課税関係が生じないよう所定の要件を充足しているかどうか、また、欠損金の繰越控除及び特定資産の譲渡等損失の損金算入のための要件を具備しているかどうかです。同族会社グループ内の合併にあっては、同一の者、つまり、親族関係のある一族で100%保有され、その保有期間も長期にわたる兄弟会社・関係会社間の合併が大部分ですので、多くの場合、適格要件及び欠損金の繰越控除並びに特定資産の譲渡等損失の損金算入に関する要件(以下、適格要件等)は満たされていると思われます。

合併比率の算定
適格要件等は、満たされているとしても、合併比率に不合理な差異がある場合には、株主である親族間で「みなし贈与」といった課税関係が生じる場合もあります。合併比率とは、一般的に被合併会社の株式1株に対して合併会社の株式を何株割り当てるかの割合です。合併比率の算定にあたっては、被合併会社の1株当たりの価値と合併会社の1株当たりの価値の算定は不可欠です。この1株当たりの価値の算定ですが、株主が個人のみであれば、相続税法上の株式評価方法で問題ないと思いますが、法人株主等が存在する場合には、いわゆる子会社に該当するものとして、土地等及び上場有価証券があればその時の時価で、また、評価益に対する法人税相当額を控除しない、といった評価になるものと思われます。

1株に満たない端数株の対応
合併比率を算定して、その比率で合併会社の株式を割り当てると、多くの場合、端株(1株未満の端数)が生じてしまいます。この端株を売却等でその代金を株主に交付、ということは非上場株式ではまずありえません。ではどうするかですが、一般的には、株式分割、併合の手続きが用いられます。例えば、被合併会社の発行済株式100株、株主Aは79株、Bは21株を保有、合併比率は、「被合併会社の株式1株につき合併会社の株式1.5株」とします。この場合、株主Aには118.5株、Bには31.5株が割り当てられ、端株が生じてしまいます。これを回避する方法の1つとして、合併会社の1株を10株に分割することで、合併比率が「1対15」になり、端株を生じさせなくすることができます。